ホームページは持っていないから作りたい人ばかりではなく、すでに持っているけど改善したいから作り直したい人の方が多いのです。いわゆるリニューアルというもので、その目的は様々です。
ホームページのリニューアルというと古いホームページをフラッシュアップするけという印象を持たれる方も多いのですが、これが落とし穴になりかねません。
より良い方向へ磨きをかけるには綿密な計画や調査が必要になることがあり、これを怠ると折角のリニューアルが失敗に終わってしまう可能性もあります。
リニューアルを失敗させないために何に気をつけたらよいのか、起こりがちな具体的な例を交えながらご紹介します。
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リニューアルの目的は集客
リニューアルをするホームページは何年も手を加えられず、そのままの状態で放置されてきたものも少なくありません。そこに手を加える目的のよくある例としては、スマートフォンに対応させたい、デザインをかっこよくしたい、更新機能をつけたいなどなど様々です。
ただ、これは動機やキッカケに過ぎず、目的をたどると集客に結びつけたいという一点に収まります。
ホームページのリニューアルの成果として集客を成功させるということは、リニューアルの失敗リスクを少しでも減らしてスムーズな運用開始が行えるようにする必要があります。
では具体的にホームページのリニューアルにはどのような失敗があるのでしょうか。
リニューアルの目的を明確にしないと費用対効果が低くなる
ただなんとなく「ホームページを新しくしよう」と思っても、新しくはなりますが効果を感じられるホームページになりません。リニューアル効果がなかったというものです。多くの場合がリニューアルする目的が曖昧で明確になってないことに起因します。
リニューアル目的の例
- スマートフォンに対応させたい
- 使い勝手を良くしたい
- 古い情報を整理したい
- 自社で更新できるようにして最新の情報を提供したい
- 見込み客を集客していきたい
- 既存客に役立つ情報を提供してリピート率を上げたい
この様に目的をはっきりさせることで、旧サイトと新サイトとの違いをはっきりと比較できるようになります。目的が変わることでマーケティング戦略も変わってきますので、目的を明確にすることは重要だと言えます。
デザイン重視に偏りすぎた
ホームページをかっこよくしたいというのはリニューアルの目的としてよくあるケースです。
デザインは目的と戦略に基づいたマーケティング方法の1つです。ただ単に意匠的に優れたものであっても、それが集客効果に結びつくことはありません。
かっこよくしようとしすぎて使いにくくなった
デザインの失敗ケースとしてよくあるパターンです。スマートフォンサイトではしばしば問題となります。
スタイリッシュなデザインを追い求めると、アイコンのみのボタンが増えたり、フォントサイズが小さくなって見にくくなったり、ユーザービリティが下がる傾向にあります。顧客層が日常的にスマートフォンでネットを使いこなしている場合はさほど問題にはなりませんが、顧客の年齢層が高い業種では注意が必要です。
デザインがターゲットにマッチしない
リニューアルの目的がデザインのフラッシュアップに偏りすぎると本来の目的を見失いがちです。獲得したい顧客層にマッチしたデザインかどうか、業種イメージにふさわしいデザインかどうかはリニューアル後の効果に大きく影響します。
どういった層に向けてデザインするのか、ターゲットを明確にするべきでしょう。ペルソナの設定が有効と言えます。
コストを優先して中身はそのまま
ホームページはデザインを変えたら効果が出るものではありません。サイト構成やコンテンツ内容を変えずにリニューアルすると効果がでないことがあります。
多くのユーザーが検索エンジン経由で訪問するのであれば、検索エンジン対策をしっかり行わねばなりません。競合企業や業界の関連企業、SEOツールなどから適切なキーワードを調査し、検索順位を上げるためのコンテンツを制作する必要があります。
これらの調査費用や、コンテンツの追加費用をカットしていまうと効果が得られないホームページになってしまう可能性があります。集客を目的としたリニューアルならば検索エンジン対策のコストを見込んで、予算を想定しておくのが理想と言えます。
リニューアル後も既存ユーザーに分かりやすくする
リニューアルするとデザインが変わり、メニュー構造が変わり、ナビゲーションも変わる事があります。これまでの既存ユーザーにとっては突然の変化は戸惑うのではないでしょうか。
新しいものが拒絶されるのはある程度許容しておく必要がありますが、既存ユーザーの離脱を防ぐための対策も必要です。
誰にでもわかりやすいメニューやナビゲーションにする
そこにあったはずのボタンやコンテンツが見当たらないだけで既存ユーザーは戸惑います。サイト構成が大きく変わればユーザーはサイトの使い方を再学習しなければなりません。既存ユーザーを減らさないためには、リニューアル後でも違和感なくスムーズに使いこなせるわかりやすいユーザーインターフェイスが不可欠です。
増えたコンテンツを分かりやすく整理する
リニューアルでコンテンツが増えると、既存ユーザーにとっては情報過多となる場合があります。コンテンツが継ぎ接ぎ状態では、どこにどんなコンテンツがあるのかわかりにくくなります。多量の情報を追加するのであれば、再度、ディレクションを行います。情報は細かく丁寧に分類して、わかりやすいナビゲーションで適切に目的の情報まで誘導させる必要があります。
過去の遺産が検索エンジン対策の足を引っ張る
意外な落とし穴になるのが過去の遺産である古いコンテンツです。リニューアルの際に、旧サイトに存在する古いコンテンツはもったいないからそのまま掲載するケースは多いと思います。これが検索エンジン対策、SEO対策の足を引っ張る原因になることがあります。
旧サイトのSEOが弱い場合は、過去のコンテンツ自体がGoogleに高い評価を受けていない可能性があります。もしかしたらペナルティを受けているかもしれません。
もともとSEOが弱かったコンテンツをそのまま流用することはリニューアル後のホームページに必ずしも良い影響を及ぼすとは限りません。評価の高くないコンテンツを流用するのであれば、検索エンジンにインデックスされないような対策を講じる必要があります。
リニューアルで検索順位を下げない
リニューアルが必ずしも良い結果を生むとは限りません。リニューアルにより検索順位が下がることもあります。特に、もともと検索順位が高いホームページでは特に注意が必要です。
リニューアルでコンテンツ内容やサイト構成を変更したら評価が下がり、検索順が低下する可能性もあります。現状でSEOに強く検索エンジンで上位表示されているホームページであれば、サイト構成やコンテンツには手を加えず、デザインのみの変更や軽微なレイアウト変更に留めることも検討するべきでしょう。よりSEOを強くするのであれば、コンテンツの基本構成はそのままに、加筆を行いキーワードを強化していくことも検討できます。
現状のホームページの状態によってリニューアル戦略は変わってきますので、慎重な調査と計画が必要と言えます。
リニューアル後の運用方法や管理責任者を明確にする
せっかくホームページをリニューアルしたのに、適切な運用がなされなければどんなに素晴らしいホームページにリニューアルしたとしても無駄になってしまいます。集客を目的にするのであれば、定期的なコンテンツ投稿を行い、SEO対策をしていく必要があります。
誰が担当者となって、どういう情報をどのくらいのペースで追加していくのか、事前に決めておくとスムーズなホームページ運用ができます。
また、ホームページは定期的なメンテナンスや小さなリニューアルも必要となってきます。管理者を明確にしておくことで、制作会社との情報交換や連絡もスムーズになります。
リニューアル成功のコツは丸投げしすぎないこと
ホームページのリニューアルを自社で行うのではなく、制作会社に依頼する場合、製作会社はその会社が抱えている課題を全て把握してはいません。ホームページはビジネスの課題を解決するツールの1つです。リニューアルの際には自社が抱えている課題や改善したいことを的確に伝えられるように準備しておくとよいでしょう。
- 現在のホームページの問題点や改善したいこと
- 自社が抱えている課題
- 社内の意見や要望
- 会社の総意としてのリニューアルの目的
- 顧客からの指摘
- 発信していきたい情報
- 管理責任者のスキル
具体的にはこれらの情報を事前に調査しておき、制作会社に伝えるとリニューアルの企画や戦略を立てるのに役立ちます。
ホームページリニューアルが失敗する原因は発注する側の完成イメージと、完成したホームページとの差にあります。ただ、漠然とニューアルを丸投げで依頼するとこのようなケースに陥りがちになります。
想定したイメージに近いホームページにするためには、目的を明確にして、課題や要望をしっかりと伝えなければなりません。明確に要望を伝えられるように、意見をまとめておく作業を事前にしっかりと行うだけでホームページのリニューアル失敗の多くは防げるのではないでしょうか。